専業主婦からの脱皮 :ノンフィクション・ドキュメンタリー

第2章:穴があったら入りたくなるくらい恥ずかしくも情けない話

妄想の世界から現実の世界へ

10年以上ものブランクを経て専業主婦に別れを告げて働き始めたわけですが、それはもう情けない事の連続でした。

妄想の世界ではかっこよくバリバリと仕事をこなすキャリアウーマンだけど、まあそんなことを言っていても始まらないので、何をしようと考えて選んだ初めての仕事はイタリア料理の厨房でした。

何が出来るかと考えても結局すぐ実践で使えるスキルもなく、とりあえず食べる事は好きで特にイタリア料理に興味があったので、(いいかも!)なんて気軽に考えてバイト情報誌で探しまくっていました。

みなとみらいでイタリア料理のシェフ見習い

横浜イメージ 初めての職場は横浜のお洒落な街みなとみらい、期待に胸を膨らませての出勤だったのですが・・・それはあっけない幕切れでした。

何せ料理長が怖くて・・・考えてみれば家で家族の料理を作っていただけのおばちゃんなんて、本当に使いものにならないものですよね。怒られ怒鳴られ、しまいには相手にもされなくなってしまいました。
自分ではちゃんとやっているつもりなんだけど、切り方一つとってもNGなんですよね。

若くないから・・・?

私には凄く冷ややかなんだけど、私にとっては先輩の若い女の子には「〜ちゃん!」なんて、ちゃん付けで態度がコロッと変わって(そっかぁ、私はもう若い女の子じゃないんだぁ)と、 今さらながら自覚して・・・結局半月、そう2週間弱で私の再就職デビューは終わってしまいました。

おまけに情けない話には、仕事のあった日は帰宅すると、
「もう、やだー、辞めたいよー。」なんて涙ながらに家族に愚痴っていたから、子供も呆れていましたね。

情けない醜態をさらけ出しまくって、「一体いくつだよー、いい年をして!」って突っ込まれても仕方のない話ですよね。

次のチャレンジは、衆議院選挙前世論調査員!

女性イメージそれでも気を取り直して、まずはウォーミングアップという事で短期の仕事で慣らしていこうと、 選んだのは衆院選前の4日間の電話での世論調査員。確か採用人数が100名くらいの大規模なものだったので(いいかも!)なんて。
ただ当時、我が家にはパソコンがなかったのです。パソコンなるものを私はいじった事がなかったのです。

それでも若い頃、仕事でワープロなら少し使っていたので、事前に電話でその事を尋ねてみると「それなら、大丈夫でしょう」と言われたので、 簡単な操作等は事前の研修でやるんだなっと、またまた軽〜く考えて、指定された日に面接会場に臨みました。

いざ面接会場へ 〜パソコン?マウス?ぶっつけ本番〜

会場に着いて唖然! 広〜い会場にパソコンの載った机がダッーと、その数50〜100台くらいだったでしょうか。
受付をした順番にパソコンの前に座らされて、ほぼ席が埋まったところで始まりました。
まあ、嫌な予感はしていたんです。司会の女性がマイクを持って、「まずは、パソコンにご自分のお名前を入力して下さい」って言うのを聞く前から・・・

若い頃ワープロをちょっと使った経験があっても、パソコンとなると話は別。マウスに触るのも人生初めての事。 どうやって動かしたらいいのかすら解らない。周りの人達は黙々と作業をしているし、次第に焦りと共に冷や汗が・・・

「ここまでで上手くいかなかった方は手を上げて下さい」

「では、ここまでで上手くいかなかった方は手を上げて下さい。」

おそるおそる手を上げる私。いっせいに感じる視線。 近くにいた係りの人がとんできて代わりにすばやく入力してくれます。

・・・はい。イメージ「では次に生年月日を〜はい。ここまでで〜」又、手を上げる私。 又、係りの人がやってくる、そして又・・・その度に手を上げる私。 司会者もいい加減うんざりしているのが分かります。
その度に周囲の人の視線を感じて、冷や汗は脂汗に変わってきて、もはや生きた心地がしない私。 穴があったら入りたいとはまさにこの事。 もうその場からダッシュで逃げ出したい気分でした。

やっとの事で終わって次はグループ面接だったけど、もう結果は分かっていました。そして私に採用の連絡がくる事はありませんでした。

浦島太郎の気持ちを味わう

帰り道、ぼんやりと都会の景色を見ながら、何だか自分が"浦島太郎"になった気がしたのを思い出します。

(ただ一生懸命に主婦をして子育てをしてきた間に世の中はめまぐるしく変化して、気がつけば時代に取り残されてしまった。何かやろうと思って威勢良く前進するのだけど、 すぐに目の前にハードルが出て来て、普通の人なら楽々と越えられるのだけど、私にはそれが出来ない)

今ではもう笑い話のようだけど、当時は軽く打ちのめされましたね。

でも、今は良かったと思います。それから約半年後に我が家にパソコンがやってきて、 こうして原稿を書いたりメールのやり取りをしたり、多少は使えるようになりました。 ただ初めての出会いがそんな風に強烈だったせいか、未だに苦手意識は拭えませんね。

恥ずかしいこと、情けない経験を経て今のわたしがある『時には開き直ろう』

穴があったら入りたくなる様な恥ずかしい事も情けない経験も、あってもいいんじゃないかなって、今ではそう考えます。

これを読まれている方々も、もし何か恥ずかしい経験をした時、それが何人、何十人、あるいは何百人の前であろうとそんな時は、 こんな風に開き直ってみたらどうかな。 (私はこんな恥ずかしい思いをしたけれど、いいや! たかだか○○人の前の事! この地球上には何十億人って人達がいるもんね。 そのうちのせいぜい○○人だもんね。全然OK!)ってね。

開き直っているって言ってしまえばそうだけど、そんな風に考えるのもいいんじゃないかな。

今でも何か新たな事にチャレンジスする時、 (こんな事言ったら相手はどう思うかな? 恥ずかしいからやめようかな?) なんて思った時・・・小心者の私はそんな風に半分開き直って考えるんです。

開き直れば前に進める、地球規模なマクロな見方

もしも読者の方の中に、 (こんな事やってみたいんだけど、ちょっと恥ずかしいかな。失敗したらみっともないかな)なんて考えて足踏みをしていらっしゃる方がいらしたら、 (それを知っているのは世界中でたかだか○○人!)て考えて割り切っちゃいましょう。

大袈裟な様だけどそんな地球規模なマクロな見方をすると、すっと気持ちが軽くなって 「まっ、いっか!」って思えてきて、一歩前へ進めたりするものなんです。

それに、どんな事であれ"経験する"って言う事は、お金では買えない"貴重な宝"ですものね!

つづく・・・

又吉 ちさと / 文+企画

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