タイトルは、『KISSして』。それが『ガリレオ』の主題歌だ。
薫はガリレオ・湯川のもとへ捜査のはかどらない不可解な事件ばかりを持ちこむだけに、視覚的にもおどろおどろしいシーンが多いに登場する。
くわえて湯川も薫も、とにかく熱心で没頭するタチだ。それぞれ、研究に、仕事にと。
だから、ともすれば思わず息をつめて2人の動きを追いそうになるが、合間には力のぬけた台詞のかけあいもちりばめられている。
熱血チックな薫にしても、科学のなかで生きているような湯川にしても、普通の人間ぽさがそこにじわっとにじみ出る。
『KISSして』の楽しくはじける曲調には、そんな瞬間の薫と湯川の雰囲気が漂っているようにも感じられる。
ボーカルは薫を演じる柴崎コウ、作詞・作曲は湯川を演じる福山雅治がコラボレート。
さらに、福山雅治は演奏部分についてもバックコーラスとギターを受け持っている。
プロジェクトの名前は「KOH+」。2人のマッチングのおもしろさを曲のなかでもたっぷりと味わえる。
『ガリレオ』に多いミステリアスなシーンも盛りあげる劇中の音楽では、福山雅治のほか、菅野祐悟も作曲している。 『ハケンの品格』『ホタルノヒカリ』(ともにNTV)など、数々のドラマ音楽などを作りあげているアーティストだ。 つい、事件の謎のほうに注意を奪われるが、こういった劇伴にも耳をすませてみたい。
時にはカンも駆使しながら犯罪にせまる薫と、とことん理詰めでつき進む湯川というペアは、 ひとつの物事を見るにしても、その人の持つ世界からのぞいて見てみるとまるで違うのだということを感じさせる。
『KISSして』の出だしの、
「だから『ボク』がわかんない 泣きたくって 楽しくって」。
湯川の口ぐせ
「さっぱりわからない。実に面白い」
を薫流に言うと、こうなるのだろうか。
そして、わからないということ自体が、自分の世界観のフィルターごしに物事を見ていることがもたらす「結果」なのかもしれない。 湯川が語るように、「結果にはかならず原因がある」はずなのだから。
天才物理学者・湯川学(福山雅治)のもとに、新人刑事・内海薫(柴咲コウ)が次々に起こる難解な怪事件をもちこむ。
事件の事象のからくりを暴くことだけに興味がある、変人ガリレオの異名をもつ湯川から助けを得ながら、薫は犯罪を解決していく。
恵良美和 / 文